私のオンとオフ スイッチインタビュー 消防団員としても地域を支える! 離島の郵便局長

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全国24,000ある郵便局、そして日本郵政グループの社員はおよそ40万人。この企画では、それぞれの立場で仕事に取り組む社員の姿勢と知られざるプライベートでの横顔、そんなオンとオフの両面で活躍する社員の魅力ある個性を掘り下げていきます。今回話を聞いたのは、九州の五島市に位置する奥浦郵便局に勤務する熊川 兼之(くまがわ かねゆき)さん。郵便局長を務める一方、五島市消防団に所属し第5分団の分団長を務めています。それぞれの立場での活躍と意外な共通点に迫ります。

熊川さんの正面お写真

奥浦郵便局 局長

熊川 兼之(くまがわ かねゆき)さん

1993年、当時の郵政省に入省。関西の郵便局で5年間の経験を積んだのち、生まれ故郷である長崎県の五島市に帰郷。五島市内の福江島など5つの郵便局で勤務したのち、2022年4月から奥浦郵便局の局長を務める

地域の皆さまとのつながりや触れあいを大切に

――今、勤務されている奥浦郵便局は、五島列島の南西部にある五島市の郵便局ですが、どういった環境ですか?

熊川:五島市は、長崎県の本土から西へ100kmほどのところにあり、古くから残る教会がたくさんあるなど、歴史と自然が詰まった風光明媚な場所です。奥浦郵便局は、4名が勤務しているアットホームな郵便局です。

奥浦郵便局外観
熊川さんが勤務する奥浦郵便局は、奥浦湾を臨む自然豊かな環境に建つ

――郵便局ではどういったお仕事をしていますか?

熊川:局長として郵便局全般の運営を行うほか、お客さま対応も行っています。郵便局は地域とのつながりも大切なので、例えば地域の学校から要請があった際には、行事にも積極的に参加するなどしています。また、高齢のお客さまが多い地域ということもあって、お客さまとのつながりや触れあいを大切にしながら、日々業務を行っています。

奥浦郵便局外観
ドラマでも話題になった、五島市の伝統工芸品であるバラモン凧。写真は、熊川さんが所属する五島市消防団が第29回全国消防操法大会に出場した際に制作されたもの。

脈々と受け継がれる消防団で、自分も「がんばらんばいかん」

――そして、プライベートでは消防団員としても活躍されているそうですが、入団したきっかけを教えてください。

熊川:高校卒業後就職のため、五島市から関西へ移り23歳で戻ってきたのですが、この地域では青年団のあとは消防団に入るのが自然な流れなんです。帰郷してすぐに青年団に入り青年団を退団したあと29歳のときに消防団に入ったので、もう20年が経ちますね。青年団も消防団も地域で受け継がれていくもので、自分が小さいころには青年団のお兄ちゃん、消防団のおじさんたちの姿を見てきました。だから自分も「がんばらんばいかん」という気持ちを持っています。

――現在は分団長を務められていると聞きました。

熊川:はい、五島市消防団のなかの第5分団の分団長を務めています。第5分団は約70名の団員が所属しています。二十代から私の同級生まで幅広い世代の団員がいますが、年齢を問わず、皆地元の仲間という感じです。

出初式のお写真
五島市消防団の「令和5年度消防出初式市中分列行進」にて最前列で指揮をとる熊川さん

――消防団員としての日ごろの活動を教えてください。

熊川:消防団は、地域の皆さまの生命・財産を守るのが役割です。現在は少なくなりましたが、かつては敷地で火を焚くことで発生していた火災が多くありました。そういった火災に迅速に対応できるよう努めています。消火活動のほかには、行方不明になった人がいると報告があれば、消防団本部から要請を受けて警察とともに捜索活動を行います。

――消火活動や捜索活動のほかに、どういった活動がありますか?

熊川:いざというときの消火活動のために、毎月2回、朝6時から小型ポンプの点検作業とホースを使った水飛ばしをやっています。あとは、車両の整備も欠かせません。出動が必要なときにトラブルがないように、定期的に車両の整備を行っています。

――2022年には、五島市消防団の第5分団が、第29回全国消防操法大会に出場されたと聞きました。

熊川:五島市、長崎県の予選を優勝し、第29回全国消防操法大会の小型ポンプの部に長崎県代表として出場することができました。五島市消防団が全国大会に出場するのは初めてのことです。今回私は指導者として参加しました。

――どういった大会なのか教えてください。

熊川:全国の消防団員の消防技術の向上と士気の高揚を図る大会です。45秒という短い時間のなかで、小型ポンプの取り扱いや操作の基本について技術を競います。所作も含めて、いかに早く正確に水を出すかが大切ですが、指導者の指導も重要になります。

全国消防操法大会の集合写真
長崎県での予選を経て第29回全国消防操法大会に出場。前列右が熊川さん

――団員の皆さんは、どういった準備をして大会に臨まれたのですか?

熊川:1年半前から身体づくりを行い、7カ月という期間をかけて五島市の大会、長崎県の大会、全国大会へと進んでいきます。私たち五島市消防団は、大会に向けて夜7時から9時過ぎまで毎日訓練をしました。訓練を重ねることは、日常で火災が発生した際の迅速な対応にもつながります。そういった意味も含めて、操法を経験して初めて一人前の消防団員になれるといわれています。

――本番の45秒のために訓練を重ねるのですね。大会出場にあたって、周囲からはどういった反応がありましたか?

熊川:大会前には、郵便局の皆から頑張ってと激励を受けました。五島市の市役所にも、大会出場を案内する垂れ幕をかけていただいたりしました。

――長崎県代表としての大会出場に際して、長崎県副知事へ表敬訪問をして出場報告をされたそうですね。

熊川:初めてのことでしたが、副知事からいろいろなお話を伺えてよい経験になりました。長崎県を代表して大会に出場するので身の引き締まる思いでした。

表敬訪問のお写真
第29回全国消防操法大会への出場報告のため長崎県副知事を表敬訪問。後列左が熊川さん

――大会に出場したことで気づきはありましたか?

熊川:全国大会では優良賞を受賞しましたが、普通のことを普通にやる難しさを感じました。大会は、千葉県の消防学校で行われましたが、土地や環境が変われば、いつもどおりの実力を出すのが難しいこともあります。これからも団員の皆と精進を重ねて、てっぺんを目指して頑張っていきたいと思います。

表彰状のお写真
第29回全国消防操法大会の小型ポンプの部にて優良賞を受賞

局長として、分団長として、皆をまとめて引っ張っていく

――郵便局での仕事と消防団員としての活動で、両者に共通して心がけていることはありますか?

熊川:今は、どちらも管理者・指導者という立場にあって、職場では社員、消防団では団員をまとめていく役割です。どちらでも、皆をまとめる気持ち、引っ張っていく気持ちを持って取り組んでいます。

――それぞれの経験が役立っていることは何だと思いますか?

熊川:職場でも消防団でも、指導の仕方やコーチングの勉強をしながら、若い人の意見や要望をよく聞くように心がけています。また、若い人の悩みを聞くことも少なくありません。相談を受けたときは自身の経験も交えながら応えるようにしているのですが、その際職場での経験が消防団の場で活きることもあります。

業務風景のお写真
熊川さん(写真左)

――心構えとして大切にしていることを教えてください。

熊川:子どものころからの習慣でもありますが、「疑問を持つこと」を大切にしていて、若い人たちにも日頃からそのようにアドバイスしています。疑問を持てば興味が湧き、興味が湧けば好きになり、課題があれば解決したいという思いが出てくるものです。自分自身も、そういった経験を今後も積み重ねて蓄積していければと思っています。

地域に寄り添い、頼られる存在を目指して

――これからの目標を教えてください。

熊川: プライベートでも地域の行事に積極的に参加したり、これまでPTA活動などの役員を務めてきたりしていました。だからでしょうか、ありがたいことに地域で頼っていただけるようになってきていると感じています。そして郵便局としても、引き続き地域の皆さまに寄り添い、頼られる存在になれればいいですね。奥浦郵便局は、いわゆる"一見さん"があまりいない地域に根づいた郵便局なので、お客さまにはこれからも変わらず気持ちよく利用してもらえるよう心がけていきたいです。その積み重ねによって、もっと皆さまに郵便局を好きになってもらえるのかなと思います。

画像の代替テキスト

※撮影時のみマスクを外しています。

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