安全運転啓発からEV・脱炭素のSDGsまで。日本郵便がオートバイレースチームを支援する理由(後編)
INDEX
「どのサーキットにいっても応援してもらえる」
日本郵便は、2018年からHondaとの協業の一環でレーシングチーム「日本郵便 Honda Dream TP」をサポートして全日本ロードレース選手権に参戦している。新型コロナウイルス感染拡大で多くのイベントが影響を受けたが、今後も日本郵便はレース活動を支援していく予定だ。
より多くの社員とお客さまに活動の主旨を理解してもらえるように、サポートを続けていく。日本郵便人事部の相坂 宗毅(あいさか そうき)さんは、活動が実を結びつつあるのを実感しているそうだ。
「会場の雰囲気に圧倒されてレースにハマる人もいますね。スタート前の静寂と緊張感、そこから爆音で走り出すバイク。非日常感を存分に味わえるんです。レースを重ねるにつれて、サーキットに日本郵便のロゴがあることもなじんできましたね。ありがたいことに、日本郵便のチームで走りたいと言ってくださる若手ライダーもいるようで、続けてきてよかったなと感じています」(相坂さん)
実際にレースを走るライダーとして、日本郵便 Honda Dream TPの小山 知良(こやま ともよし)選手は全国に展開している日本郵便ならではの存在に背中を押されているという。
「レースはチームみんなで挑むものですが、実際にスタートするとライダーは孤独です。日本郵便は全国に郵便局があるので、どのサーキットに行っても応援してもらえるんですよね。レースでは、バイクのセッティングも自分のコンディションも万全なことの方が少なくて、苦しいときの応援は本当に力になります。それを受けて僕が頑張って走る姿をお見せすることで、感動と笑顔をお返ししたいです」(小山選手)
同じ哲学を持って社会課題の解決に挑む
最後に、日本郵便がレース活動をサポートし続ける、その先にある目標を聞いてみた。日本郵便 人事部の相坂 宗毅さんは次のように話す。
「今年は社員向けだけですが、レースの模様を動画サイトで公開しました。普段は見ることのできない、ピット内の様子などが盛り込まれています。ゆくゆくは、一般にも公開できればと考えています。コロナ禍でなかなか会場に行けない社員も多かったので、選手への寄せ書きを送ってくれる郵便局もあって、ピットに飾ってレースをしました。将来的には、チームのTシャツを着た社員が、スタンドを真っ赤に染めてくれたらいいですね。新型コロナが収まって、そんな日が来ることを願っています」(相坂さん)
将来的にはEV(電動バイク)化が進むと予測されているなかで、レースチーム、バイクメーカー、そして多くのバイクを使うユーザー代表としての日本郵便がタッグを組むことに、大きな意義がある。
同人事部 部長の吉澤 尚美(よしざわ なおみ)さんはこう説明する。
「事故ゼロ、カーボンニュートラルやSDGsなど、社会課題に一緒に取り組んでいきたいと思います。すでに一部の郵便局に試験的にEVを導入していますし、ほかにはチームと一緒に、EVの燃費レースなども開催していきたいと思っています。レースから広がって、同じ哲学を持って課題解決に進んでいければいいですね」(吉澤さん)
日本郵便 Honda Dream TP代表の手島 雄介(てしま ゆうすけ)監督は、最後にこう話してくれた。
「私は、『モータースポーツを国技に!』と思ってチーム活動をしています。それは、バイクもクルマも戦後の日本を支えてきた産業なので、それを使ったスポーツをもっと盛んにしたいということなんです。そこには"つくる人"と"使う人"という役割分担があって、同じバイクを扱うプロ同士が共感し合って取り組めるのはいいことですね。私たちは、事故ゼロに少しでも貢献して、日本郵便の社員さんとそのご家族の笑顔を守るためにもがんばりたいと思います」(手島監督)
モータースポーツというスポーツエンターテインメントの力を借り、多くの人を巻き込みながら、安全や安心に取り組んでいく。そして、レースから社会問題までがつながり、大きなうねりになって社会を動かしていく。日本郵便 Honda Dream TPとして、企業とレーシングチームがそれぞれの得意を活かして、これからも新しい世界を見せてくれるだろう。