私のオンとオフ スイッチインタビュー 世界大会に日本代表として出場! ユニファイドサッカーで活躍する郵便局社員

私のオンとオフ スイッチインタビュー 世界大会に日本代表として出場! ユニファイドサッカーで活躍する郵便局社員

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約24,000 ある郵便局をはじめ、全国で働く日本郵政グループの社員。この企画では、それぞれの立場で仕事に取り組む社員の姿勢と知られざるプライベートでの横顔、そんなオンとオフの両面で活躍する社員の魅力ある個性を掘り下げていきます。
今回話を聞いたのは、長野県岡谷市の三沢郵便局に勤務する橋場 祐輝(はしば ゆうき)さん。窓口業務を担当する一方、サッカーの競技者やコーチとして活躍しています。その活躍の様子とオンとオフの意外な共通点に迫ります。

橋場 祐輝(はしば ゆうき)さん

三沢郵便局

橋場 祐輝(はしば ゆうき)さん

2015年、日本郵便株式会社に入社。湊郵便局など地元である長野県内の郵便局での勤務を経て、2021年より現職。プライベートでは、知的障害のある人とチームメイトとなり競技を行うユニファイドスポーツ®のサッカーに競技者として参加。下諏訪町スポーツ協会サッカー部のコーチとしても活動している。

※取材時(2024年2月)の所属を記載しています。

「また、この郵便局に来たい」。そう思ってもらえる接客を大切に

――入社のきっかけと普段のお仕事について教えてください。

橋場:人とかかわりながら、地域に貢献できるような仕事がしたいと思い、郵便局を志望しました。郵便局では窓口を担当することが多く、郵便や貯金、保険とすべての業務に携わっています。

いっしょに働く三沢郵便局の皆さんと。社員同士の距離も近く、局内は温かい雰囲気に包まれている

――三沢郵便局はどんな職場ですか。環境や雰囲気を教えてください。

橋場:プライベートのことも話しやすい環境で、サッカーの活動も理解してくれていて、とてもありがたいです。近隣の郵便局で働く方からも「サッカー、頑張ってるね」と声をかけてもらったり、大会前には壮行会を開いてもらったりと、温かく見守ってもらえてうれしいですね。

橋場さんが勤務する三沢郵便局

――仕事ではどんなところにやりがいや魅力を感じますか。

橋場:郵便局はさまざまなお客さまがいらっしゃる場所で、幅広い世代の人とかかわる機会があるところに魅力を感じています。手続きの内容によっては、お客さまのお悩みを伺うなどの深いお話をして、それにお応えできたときは、やりがいを実感します。

――仕事をするうえで大切にしているのはどんなことですか。

橋場:周辺にはほかの金融機関もありますが、お客さまが「また、この郵便局に来たい」と思うような接客と雰囲気づくりを心がけています。

郵便や貯金、保険とすべての窓口業務を担当

――橋場さんから見た郵便局のよいところを教えてください。

橋場:どんな方でも気軽に足を運びやすいところだと思います。三沢郵便局の隣には公園があって、そこで遊んでいた子どもたちが「いま何時ですか?」なんて聞きに来ることもあります(笑)。それだけ安心して気軽に寄れる場所なのだと思いますし、そこがよいところだと思います。

障害の有無に関係なくプレーする「ユニファイドサッカー」に熱中

――プライベートではサッカーをされていますが、サッカーを始めたのはいつからですか。

橋場:小学校低学年のときの担任の先生がサッカー好きで、その影響を受けたのが大きいですね。本格的に始めたのは4年生の冬で、地元のクラブチームに入りました。中学に進学してからも別のクラブチームでサッカーを続けて、高校は特待生として強豪校に進学しました。高校では、全国高校サッカー選手権大会に出場して全国ベスト16に、個人としては国体の県代表に選抜されたりもしました。

現役の競技者としても活躍する橋場さん(写真中央) ©スペシャルオリンピックス日本

――子どものころからずっと続けているんですね。今は、中学生への指導もされているそうですが、コーチを始めたきっかけを教えてください。

橋場:ちょうど郵便局で働き始めたころ、私が小学生のときにサッカーを教わっていたコーチに誘われて、下諏訪町スポーツ協会のサッカー部の練習に参加するようになりました。そこで指導することの楽しさを覚えたんです。そのまま外部指導者という立場になり、現在までコーチを続けています。中学生への指導と併せて、指導者を目指す同世代の仲間の育成も行っています。

――コーチをするのは週に何日くらいですか。

橋場:土曜・日曜も含めて多いときは週4日ほどです。平日は仕事が終わってから、19時から21時ごろまで活動しています。競技者として私自身の練習もあるので、大会前などは毎日サッカー漬けですね。

――コーチとしてのやりがいはどんなところに感じますか。

橋場:自分の経験を活かして指導するなかで、教え子が成長していく姿を見ると、やりがいを感じます。中学からサッカーを始める子もいるので、それぞれのレベルに合った練習メニューを考えるなどの工夫をしています。

――競技者としては、ユニファイドサッカーもされているそうですね。始めたきっかけをお聞かせください。

橋場:高校の同級生から、「ユニファイドサッカーをやっているのでいっしょにやってみないか」と誘われたのがきっかけです。

――そもそもユニファイドサッカーとは、どのようなものですか。

橋場:知的障害のある人が「アスリート」、ない人が「パートナー」としてチームメイトとなり、いっしょにスポーツを行う、スペシャルオリンピックス(※)独自の取り組みのことをユニファイドスポーツ®と言います。その競技の一つであるサッカーを「ユニファイドサッカー」と呼んでいます。パートナーはアスリートのサポートをするわけではなく、あくまでも同じ競技者という立場です。

※スペシャルオリンピックス(略称:SO)とは、知的障害のある人たちにさまざまなスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を提供している国際的なスポーツ組織のことです。

障害の有無に関係なく、全員が競技者という立場で勝利を目指すユニファイドサッカー ©スペシャルオリンピックス日本

――一般的なサッカーとのルールの違いはありますか。

橋場:一般的なサッカーは11人制ですが、ユニファイドサッカーではアスリートとパートナー混合の7人制で、競技フィールドやゴールも通常のサッカーよりも少し小さくなります。それ以外にもオフサイドがなかったり、試合には登録メンバーが全員出場しなければいけないという決まりがあります。

――どちらのサッカーもやっている橋場さんにとっては、ユニファイドサッカーならではの魅力があるようですね。

橋場:そうですね。全員参加のルールもあって、ユニファイドサッカーの方が、よりみんなで団結して競技に参加している印象が強いです。一般的なサッカーは、個人の結果や得点が重要になるときもありますが、ユニファイドサッカーは、みんなで力を合わせて勝利に向かって頑張る感じが魅力だと思います。

2023年にベルリンで開催されたスペシャルオリンピックスの開会式の様子 ©スペシャルオリンピックス日本

――2023年には、スペシャルオリンピックスの夏季世界大会にサッカー日本代表として出場されたそうですね。

橋場:はい。ドイツのベルリンで開催された大会で、全26種の競技が行われました。そのうち、日本選手団が参加したユニファイドスポーツ®は、サッカー、卓球、ボウリングの3競技でした。決勝戦ではチェコを相手に、接戦の末に優勝することができました! とても貴重な経験が得られたと思います。

――すごいですね! おめでとうございます。競り勝ったときは、どんな心境でしたか。

橋場:これまでにないうれしさを感じましたね。優勝した瞬間は、選手やコーチ、みんなでうれし泣きをしたことを覚えています。ドイツまで応援に来てくれた家族や応援団の皆さんの笑顔も忘れられません。

決勝戦でチェコと戦い、優勝メダルを手に笑顔。右から2番目が橋場さん ©スペシャルオリンピックス日本

仕事でもサッカーでも、大切なのは一人ひとりに向き合うこと

――仕事にサッカーにとお忙しい毎日ですが、両立させるのに大変なことはありますか。

橋場:正直、あまり大変だと感じることはありません。自分にとってはオン・オフという意識も特になくて、どちらも日常なんです。これまでに培った経験や体験が、それぞれの活動に活かされていると感じています。

――郵便局での業務経験がサッカーの活動に役立っていることはありますか。

橋場:業務において、お客さまに情報をしっかり伝えることは、サッカーでも活かされていると思います。「言った」という事実ではなくて、「伝わる」ことが大切だなと。また、コーチの活動では学校の先生や親御さんと話をする機会があるのですが、郵便局でもさまざまな世代の方とお話をすることが多いので、この経験も役立っていると思います。

――逆に、サッカーの活動が業務に活かされていることはありますか。

橋場:コーチやユニファイドサッカーの経験で、一人ひとりに向き合うことの重要さを学びました。お客さまもみんな一人ひとり違いますから、お話をしながら雰囲気を見て、その方に合わせて動くようにしています。業務でもサッカーでも立場は関係なく、人と人との関係でいることを大切にしています。

新しいものを取り入れながら、さらなる成長を目指す!

――仕事とサッカーを両立させて活躍されている今、描いている将来の目標を教えてください。まずはお仕事の方からいかがでしょうか。

橋場:新NISAのスタートなど、これからもいろいろなサービスが新しくなると思います。多様化するお客さまのご要望に応えていけるよう、常に最新の知識を取り入れながら、成長を続けられればと思います。

再び大舞台で表彰台に上がることも橋場さんの目標の一つ。右端が橋場さん ©スペシャルオリンピックス日本

――サッカーでの目標はいかがですか。

橋場:自分の体験や経験を次の世代につなげていきたいので、指導している子どもたちにできる限り伝えていければいいですね。競技者としては、2027年に開催される次回のスペシャルオリンピックス夏季世界大会にも選手としての参加を目指しています。

――郵便局社員、競技者、コーチとして、どのような存在になりたいですか。

橋場:まず仕事では、信頼される社員になりたいです。それぞれの考えや行動は自由であると同時に責任があることを忘れずに、成長を続けられればと思います。サッカーでは、競技者とコーチの活動を通して、仲間や子どもたちに何かのきっかけを与えられるような存在を目指したいです。

――橋場さんと同じように仕事と趣味の両立を目指している方へ、メッセージやアドバイスがあればお聞かせください。

橋場:仕事もプライベートの時間も、すべてを含めて自分の人生です。さまざまな経験や体験をたくさんすることで人生が豊かになると思います。

(オン・オフ両立の極意)

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