【グループ企業探訪記】日本郵政グループの建物に総合支援サービスを提供!新たに日本郵政建築株式会社が始動
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日本郵政グループのさまざまな関連企業を巡り、働く人たちの想いや、企業の風土などを取材する企画「グループ企業探訪記」。今回取り上げるのは、2024年4月1日に新会社として設立、同年7月1日から業務を開始した、日本郵政建築株式会社。日本郵政グループの施設に関する企画支援、設計・工事監理、維持管理などの業務を担う会社として成長が期待される同社について、代表取締役社長 倉田 泰樹(くらた やすき)さん、技術統括本部の久弘 光太(ひさひろ こうた)さん、プロジェクト管理本部の水野 瑛葉(みずの あきは)さんにお話を伺いました。
日本郵政建築株式会社
代表取締役社長
倉田 泰樹(くらた やすき)さん
1991年、当時の郵政省入省。放送行政、簡易保険事業などのほか、外務省へ出向し、インドネシア大使館でも勤務。郵政民営化後は日本郵便株式会社のコンプライアンス業務などを担当。2018年に日本郵政株式会社 施設部に配属となり、2024年4月より現職。
日本郵政建築株式会社
技術統括本部 建築設計部 主任
久弘 光太(ひさひろ こうた)さん
2016年、日本郵政株式会社に入社。九州施設センターで勤務したのち、2020年に本社へ異動。2023年からは施設部で勤務し、2024年7月より現職。
日本郵政建築株式会社
プロジェクト管理本部 FM企画部 主任
水野 瑛葉(みずの あきは)さん
2016年、日本郵政株式会社に入社。首都圏施設センターなどを経て、2024年7月より現職。
さらに品質の高い「建築の総合支援サービス」を目指して
――新会社設立の経緯についてお聞かせください。
倉田:設立については、2つの大きな背景がありました。これまでわれわれは、日本郵政株式会社の施設部として、グループの施設に関する実務を担っていましたが、同社全体の再編という流れを受けたことが1つ。もう1つは、サービスの質を高めていくためには、機動的に、より自由度の高い環境の方が望ましいということがありました。
倉田:今の心境をお伝えすると、正直ホッとしています。といいますのは、新会社として業務を開始するにあたり、オフィスやシステムは完全に独立させ、独自のものを作らなければいけませんでした。
弊社は日本郵便を中心に非常に多くの業務を受託していますが、われわれ側の事情で業務に支障をきたすわけにはいきません。そこを本当に心配していたのですが、7月1日から当たり前の業務を当たり前に実施することができたことに、今は胸を撫でおろしています。
現時点で、システム環境などに一部不具合や不慣れな点がありますので、まずは、しっかり腰を落ち着けて業務に臨める環境を整え、そのうえで、新しいことにチャレンジする。そういう心境でおります。
――日本郵政建築が提供する「建築に関する総合支援サービス」について、具体的な事業内容を教えてください。
倉田:一般的な設計会社であれば、建物を完成させたところで業務が終了しますが、弊社の場合は建物が完成した後も長期間にわたって維持管理業務を実施します。途中で社会や環境の変化にも対応して、修繕や改修を行っていく、つまり、建物のライフサイクル全体を支援することが弊社の役割になります。これが「建築に関する総合支援サービス」という意味です。
また、弊社は全国2万局以上の郵便局のライフサイクル全体を見ているわけですが、これはほかに例を見ない規模です。それを可能にしているのは、インハウスで長く続けてきた経験や蓄積といった強みがあってこそ。このノウハウや技術を活かしながら建物のライフサイクル全体にわたって、しっかりと総合支援サービスを提供していくことが使命だと思っています。
従来業務に加え、新しい分野も視野に
――日本郵政グループには不動産開発を担う日本郵政不動産株式会社がありますが、業務内容の違いや関係性についてお聞かせください。
倉田:弊社は郵便局を中心に、グループ内の施設への総合支援業務、端的に言えば技術系の業務を担い、一級建築士などに代表される専門家が技術的な側面から貢献していくことが役割です。一方、日本郵政不動産は社名の通り、グループの不動産事業を実施する企業になります。「JPビジョン2025+」に掲げられている不動産開発を、グループの中心となって推進していく役割を担っています。
関係性ということでは、不動産事業の企画・計画・設計・監理というそれぞれのステージで、弊社が委託を受けて業務を実施しています。案件により最初の企画・計画段階だけというケースもあれば、建物の完成までというケースもあります。弊社は依頼を受けて必要なサービスを提供する立場になりますが、単なる受委託の関係ではなく、発注者と同じ意識を持って、よい提案やサービスを提供していきたいと考えています。
――グループ内の業務を中心にしながらも、今後はグループ外の業務を実施することもお考えなのでしょうか。
倉田:そうですね。今はグループ内の仕事について、地に足をつけて、しっかり品質を高めていくのが最も重要だと思っていますが、品質を高めるためには、新しいことにチャレンジする意識を持つことも重要です。当社ホームページ(社長挨拶)でも述べていますが、「伝統を守りつつ、変化を志向」していきます。「伝統」とは、地域・社会に貢献するという意識、グループの経営・サービスの中心にある郵便局に関して蓄積してきたさまざまなノウハウなどであり、この「伝統」を守りながらも、同じことだけをやり続けるのではなく、新しいことにチャレンジする「変化」も大切だと考えています。将来的には、グループ内に限定せず、地域や社会に一層貢献できる業務にも取り組んでいければと思っています。
社員たちが語る業務と新会社への想い
――お二人の業務内容をお聞かせください。
久弘:私は建築設計部で意匠設計を担当しています。構造や設備、施工など各分野の専門家と連携して、建物全体のデザインをする仕事です。主に郵便局の設計を行っており、現在は比較的大規模な郵便局の新築工事を受け持っています。
水野:私が所属するFM企画部では、主に 各支社で実施している全国規模で一斉に行う工事を取りまとめています 。発注者と工事方針の検討や、各支社への指示・進捗確認をする仕事になります。 そのなかで私は現在、郵便局の内壁・外壁の塗り替えを行う美装工事をメインに担当しています。
――それぞれの部署の人数や雰囲気を教えてください。
久弘:建築設計部は30名ほどで、さまざまな経歴の社員がいます。年齢層は若手から中堅、ベテランまで比較的幅広いと思います。部内の雰囲気は明るいですね。"建築という同じ趣味を持つ仲間"みたいな部分も感じるので、上司部下ともに話しやすい環境です。
水野:FM企画部は25名ほどで、今のところ若手よりもベテランの社員が多い構成になっています。業務で何か困ったことがあったらすぐに相談できますし、ちょっとした雑談を交えながら仕事ができるような楽しい雰囲気があり、風通しのよい環境だと思います。
――新会社になったことで、ご自身の気持ちや考え方の変化などはありましたか。
久弘: 業務上では今のところは大きな変化を感じることはないですね。ただ、 これまでは会社の一部署へ依頼いただいていた仕事が、「この会社に依頼する」という形になるため、意識的には大きく変わります。 一つの会社となったことで、今後はこれまで以上にシビアな目で見られるのではないかとも思っているので、より一層、信頼を得るための取り組みが必要だと感じています。引き締まる思いを実感しています。
水野: より軽いフットワークで、スピード感を持って業務が進んでいくことを期待していますし、そうなっていくと思っています。自分も、その動きについていかなきゃいけないという思いがあります。また、 新たな仕事にも対応できるように、自分自身もアップデートしていきたいです。
――仕事を通じての今後の目標や達成したいことを教えてください。
久弘: 引き続き専門知識の習熟に努め、お客さまとのコミュニケーションにも活かせるようになりたいですね。建物の設計では、敷地特性や法的制約などのさまざまな条件をクリアしつつ、プロジェクト関係者の要望や意見をくみ取りながら最適解を模索します。 私にとっての最適解が、お客さまにとっても最適解だと感じていただけるような提案のできる設計者になりたいです。
水野: これまでのサービスを提供し続けるのはもちろんですが、 弊社はグループ外へも提供できる価値あるサービスを有していると思います。将来的に弊社のノウハウを活かしたサービスを世間に広く提供できるようになったとき、その業務にかかわることができたらうれしいですね。 グループ外の仕事をすることで、業務をより効率的に進めるための新たな発見もあると思っています。それを社内にフィードバックすることが会社の成長に、さらに言えばグループへの貢献にもつながるのではないかと。そんな未来を想像しています。
新会社で実現したい組織の未来像
――最後に倉田社長にお伺いします。日本郵政建築という新しい会社で、何を成し遂げたいとお考えでしょうか。
倉田:私は2018年に施設部に配属されるまで、建築とは縁のないキャリアを歩んできました。建築の世界ではいまだに初心者の域を出ていません。だからこそ、会社の大切な資源である「人」を重視したいと考えているのです。われわれの事業は人がいなくては成り立ちません。人の成長が、会社の成長はもとより、グループや地域・社会への一層の貢献につながります。社員一人ひとりがこの会社とともに成長し、日本郵政グループのため、さらには業務の先にある地域・社会のために頑張りたいという気持ちを持ってもらえるような組織にしていきたいと考えています。それが会社の成長の礎となると信じていますので、社員を大切にしながら成長を全力でバックアップしていきたいと思います。