空を見上げに東松島へ! 「ブルーインパルスの聖地」で郵便局が起こす新しい風。さらに地域を盛り上げる新たな取り組みとは?

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宮城県が誇る日本三景、松島から続く奥松島の東端に位置する東松島市。ブルーインパルスの本拠地でもある東松島市には、ブルーインパルスにちなんだものがあちらこちらに。なかには青く染まっている郵便ポストも!

「郵便局で地域を盛り上げよう!」、そんな想いから始まった宮城赤井郵便局の継続的な活動は広がりを見せ、働く社員のやりがいにもつながっています。その根底には、日本郵政グループが推進している「地域のWell-being」の考えがありました。今回は、同局の菅原 よしえ(すがわら よしえ)さんにお話を伺いました。

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宮城赤井郵便局 局長

菅原 よしえ(すがわら よしえ)さん

大学卒業後、ベビー服・子ども服メーカーに8年間勤務。2005年から現職。

航空ファンにとっての"聖地"、東松島市

――まず、東松島市が"ブルーインパルスの街"として知られるようになった由来を教えてください。

菅原:東松島市は、航空自衛隊松島基地との共存共栄を掲げています。市民にとってブルーインパルスは、街にある学校や公園と同じようにあって当たり前の存在ですし、航空ファンからは本拠地として"聖地"とも呼ばれているんですよ。

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――何かブルーインパルスにちなんだイベントなどもあるのでしょうか?

菅原:毎年8月の日曜日に松島基地で「航空祭」が開催されます。ブルーインパルスが1日に2回も飛行することもあって、航空ファンには特別な機会なんです。航空祭前日の土曜日は「東松島夏まつり」もあるので、街一番の盛り上がりを見せます。現在の東松島市の人口は4万人弱なんですが、航空祭の日は人口と同じくらいの方が市を訪れます。

――すごい数ですね! ブルーインパルスが地域の観光業や経済に与える影響も大きそうですね。

菅原:航空祭はもちろんですが、一年を通して全国各地から観光客が訪れていて、他県ナンバーの車もよく見かけます。東松島市は、観光客向けに無料の駐車場を設けたり、「ブルーインパルス通り」やデザインマンホール蓋を整備したりと力を入れています。

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"ブルーインパルスの街"ならではの通りやマンホール蓋

――ブルーインパルスのほかにも、東松島市にはいろいろな魅力がありそうですね。

菅原:はい! 近くにある日本三景の松島は、ベストツーリズムビレッジ(※)のほか、世界の持続可能な観光地トップ100に選ばれていて魅力がたくさんあります。近年では、自然や民家の路地などを楽しみながらゆっくり歩くトレッキング「オルレ」も盛んで、私も日本郵政グループ公認の「チームJP」に入ってトレッキングを楽しんでいます。

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積極的な人事交流を推進する日本郵政グループの社内制度「チームJP」に登録し、社員たちといっしょにアクティブに楽しんでいる

※UN Tourism(世界観光機関)が実施する、持続可能な開発目標(SDGs)に沿って、観光を通じて文化遺産の保全や持続可能な開発に取り組む地域を認定するプロジェクト

不思議な"6"の縁がつなぐ、地域と郵便局

――地域のブランド化に貢献するために、郵便局としてどのような取り組みを行ってきましたか。

菅原:当局が取り組みを始めたのは2017年からになります。東松島市は2011年の東日本大震災で被害を受けて航空祭を開催できない年が続き、2017年は久しぶりの航空祭でした。その航空祭に合わせて郵便局も地域を盛り上げようということで、ブルーインパルスをモチーフにしたフレーム切手を作りました。

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2017年からこれまでに販売された歴代のフレーム切手

――地域の皆さんや航空ファンの反応はいかがでしたか。

菅原:すごい反響でした!2,000シート作成したのですが、あっという間に完売して、航空祭の会場に設置した郵便局の臨時出張所では用意したフレーム切手が10分で売り切れてしまったほどです。そこから継続して取り組んでいこうと、2018年には市内6局の郵便局の風景入通信日付印(以下、風景印)をブルーインパルスのデザインに刷新しました。航空祭では、切手をお買い上げいただいたお客さまに押印台帳(切手の貼付欄と風景印の押印欄を設けた台帳)も無料で差し上げたところ好評をいただき、この台帳のために切手をご購入されるお客さまがたくさんいらっしゃいました。購入したその場で6局の風景印をコンプリートできることや土日の日付がレアということなどが好評の理由のようです。

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2018年の臨時出張所の様子。切手や押印台帳を求める人の長蛇の列が
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2021年に制作した押印台帳(切手を貼付して6局の風景印を押印したコンプリートバージョン)

――郵便局の取り組みにブルーインパルスがかかわるのは斬新な印象ですね。

菅原:実は古くからかかわっていたようなんです。家の掃除をしていたら、かつて郵便局で働いていた祖父のものと思われる、ブルーインパルスを印刷したはがきなどが出てきたことがあって。祖父との思い出はほとんどないのですが、自分が今、祖父と同じ仕事をしていて、なんというか血は争えないなと思いますね(笑)。

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1963年と1966年の郵便はがき。ブルーインパルスがデザインされ「松島基地航空祭記念」の文字が確認できる

――時代を超えて、同じことをされているとは驚きですね! ほかにも取り組んでいる事例などはあるのでしょうか?

菅原:切手販売のほかにも、ラッピングされた青いポストも市内に設置しています。東松島市が、2024年度のブランディングにさらに力を入れて取り組む方針を打ち出したのですが、そのとき副市長を務めていた小山 修(おやま しゅう)さんから、街中のポストを全部青くしたいという提案があったんです。それをきっかけにして、基地近くの6本のポストを青く塗装し直してラッピングすることにしました。自治体ともいっしょに取り組めるようになったのは、小山さんのおかげだと思います。

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街でひときわ目を引く青いポストは、6局の風景印と同じく、ブルーインパルスの1番機から6番機のそれぞれのデザインが施されていて、側面には番機のナンバーが振られている

――「6」という数字にはどのような意味がありますか。

菅原:ブルーインパルスは"6"機体制での飛行です。また、偶然にも東松島市内には郵便局が"6"局(2024年12月現在営業中)あって、先ほどお話しした各局の風景印も1番機から6番機までを描いた"6"つのデザイン、そして青いポストも"6"機それぞれのデザインでラッピングしています。街中を散策してもらうことで東松島市をもっと好きになっていただくきっかけになればと、ラッピングポストに市の観光情報にアクセスできる二次元コードも付けました。

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2024年には、6本の青いポストの位置がわかる地図を印刷したうちわを制作

――青いポストや風景印に対する地域の皆さんや観光客の反応はいかがですか。

菅原:青いポストは6本それぞれが異なるデザインということもあって、全部を歩いて見てまわる方がたくさんいます。風景印の押印は郵便局に行く必要がありますが、皆さん風景印用のシートを手に足を運んでくれるんですよ。どちらも「コンプリートしたい」という気持ちにマッチしたのだと思います。

東松島市副市長の時代に青いポストのアイディアを提案し、現在は株式会社東松島観光物産公社で代表取締役を務める小山さんにもお話を伺いました。

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株式会社東松島観光物産公社 代表取締役

小山 修(おやま しゅう)さん

――宮城赤井郵便局を含む市内の郵便局が、東松島市とのコラボレーション施策に取り組んでいることについて、どのようにお考えですか。

小山:地域の安全・安心面の協定や調査事業を市とともに行い、まさに郵便局と市の連携によって、地域の諸課題解決や利用者の利便向上を実践、推進しています。弊社としても、幅広く活動している郵便局の積極的な活動に協力して、地方創生に貢献したいと考えています。

――郵便局は地域にとってどのような存在であってほしいですか。

小山:郵便局のように長年の信頼と実績を兼ね備えた組織は、ほかに類を見ないので、この「信頼」は失われることがないようにと思っています。これからも市とともに新たな取り組みに期待したいですね。

社員一人ひとりの得意分野を活かして働くやりがいに!

――2017年から始まった取り組みを通じて、ご自身の心境や郵便局の雰囲気など、どのような変化がありましたか。

菅原:まず、私自身は毎年の航空祭がやりがいになっています。航空祭で何をしようかと、一年中考えていますね(笑)。それに引っ張られてなのか、いっしょに働いているみんなも協力してくれています。

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宮城赤井郵便局の皆さん。チームワークのよさが局内の明るい雰囲気を生み出している

――社員の意欲や働く姿勢などに変化を感じているんですね。

菅原:社員それぞれの得意分野を活かせていると思います。航空祭の準備も率先して手伝ってくれる人が増えて、積極的に参加したりアイディア出しをしてくれたりと変化がありました。自分のアイディアが採用されれば本人もうれしいですし、いろいろな相乗効果があると思います。

――社員のモチベーションアップにつながっているようですね。

菅原:そうなんです。例えば、「誰もが手に持って撮影できるフレームみたいなものを作りたい」と言ったところ、郵便局だからと風景印をモチーフにしたパネルを社員が自発的に作ってくれて感動しました。航空祭の日付も入っているので、これで撮影するとお客さまのよい記念になるんですよ。

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社員が手作りしたパネルが、航空祭でのお客さまとの触れ合いや集客に大活躍!
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パネルを制作した佐藤さん(右)

――お客さまとの触れ合いにつながるよいアイディアですね! 地域の活性化やブランディングに貢献できていると実感するのはどんなときですか。

菅原:貢献するためにやっているという意識はないんですが、6という数字がよかったなと思います。ブルーインパルスの"6"機、東松島市内の郵便局も"6"局、ポストもちょうど近くに"6"本。このような6にちなんだ共通点があったからこそ、広がりができたと思います。

日常からちょっと離れて、空を見上げに東松島へどうぞ!

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――地域のWell-beingのために、今後はどのような取り組みを検討していますか。

菅原:航空祭では、購入されたフレーム切手などが傷まないようにレターパックでご自宅に送ることをおすすめしています。今後は、そのレターパックに市の特産品のご案内を入れることで、ご自宅に帰ってからも東松島市とのつながりを持っていただくきっかけになればと計画しています。ブルーインパルスが入口かもしれませんが、東松島市にもいろいろな楽しみがあり、それに触れてもらうことでこの地域全体のファンになってもらえるとうれしいですね。

――航空祭が終わってからも東松島の魅力を楽しんでもらえそうなアイディアですね。局長として将来の目標や力を入れていきたいことはありますか。

菅原:人材育成です。私は、人材育成は漬物のようなものだと思っています。漬物って、何もしていないように見えて、手でかき混ぜたりして時間をかけて素材のよさを引き出しますよね。人材育成も表面上は何もしていないように見えるかもしれませんが、時間をかけてその人その人のいい味に漬かってくれるように、もっと"漬物上手"になりたいです。

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菅原さんの朗らかで親しみやすい人柄が、社員の働きやすさと成長を後押しする

――郵便局は地域にとってどのような存在でありたいですか。

菅原:「最寄りの身近な存在」というその一言だと思います。何かあればすぐに来てもらいたいですし、何かなくても本当に顔を見に来るだけでもいいので、お客さまと楽しく時間を過ごしたい。そういう存在でありたいですね。

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――最後に、この記事を読んで、東松島市へ足を運んでみたいと思った皆さんへメッセージをお願いします。

菅原:ブルーインパルスを見るときは、絶対に空を見上げますよね。みんなが笑顔で空を見上げるのっていいなと思います。手元ばかりを見ている日常からちょっと離れて、青い空と海、そしてブルーインパルスを眺めに、ぜひ東松島へ足を運んでみてください。

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サステナビリティ経営 日本郵政グループが目指すWell-beingの向上はこちら

※グループ中期経営計画のページに掲載している「JP ビジョン2025+プラス」70ページをご参照ください。

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