なぜ、ここまでシンプルに? 1億2,000万口座直結のゆうちょPayに込めた想い
INDEX
2019年5月からゆうちょ銀行が提供しているスマホ決済アプリ、ゆうちょPay。2022年2月1日からは、店頭でのすべての支払いへのポイント付与をスタートしました。キャッシュレス化が進む一方で、まだまだ壁があると感じている人がいます。1億2,000万口座のお客さまに対して、ゆうちょPayで届けたい価値とは? 担当者のお二人に魅力や開発秘話、これからの展望などを伺いました。

株式会社ゆうちょ銀行 デジタルサービス事業部
ゆうちょPayグループ システム担当 マネジャー
中村 勇吾(なかむら ゆうご)さん
2000年に郵政省(当時)入省。ゆうちょダイレクトやATM提携の開発担当を経て、2020年4月からデジタルサービス事業部に配属。現在は、ゆうちょPayのシステム開発を担っている。

株式会社ゆうちょ銀行 デジタルサービス事業部
ゆうちょPayグループ ユーザー担当 マネジャー
武蔵 恵理子(むさし えりこ)さん
2010年入社。システムサービス部、オペレーショナル・リスク管理室などを経て、2021年4月からデジタルサービス事業部に配属。現在は、ゆうちょPayアプリの要件定義、各種プロモーションを担っている。
口座直結でとにかくシンプル!
すべてのお客さまに使いやすい、ゆうちょPay
――まずは、2022年2月からスタートした、店頭支払いへのポイント付与について教えてください。お客さまにとっては毎回のお買い物がちょっとお得になる、うれしいニュースです。
武蔵:そうですね。これまで、各種キャンペーンやマイナポイント事業などでのポイント付与は行っていたのですが、お客さまから「毎回のお買い物でもポイントを貯めたい」という声がとても多かったんです。やはり、最近はポイントを貯めるのを楽しんでいらっしゃる方も多いですよね! そのような声にお応えしようと今回、ポイント付与を導入しました。
――そういったお客さまの生の声を拾えるのは、実店舗があるゆうちょ銀行さんならではですよね。お客さまにとっても、安心感につながっているはずです。他にもゆうちょ銀行が提供するサービスならではの強みはありますか?
武蔵:ゆうちょPayは、ゆうちょ銀行の口座から即時引き落としになる、口座と直結型のキャッシュレス決済サービスという点も強みではないでしょうか。口座を持っていれば、年齢制限がなく、誰でも手軽にキャッシュレスサービスを利用することができます。たとえばスマホを使いはじめたお子さんが、あらかじめ利用上限金額の設定をしてお小遣い管理に活用する、なんて使い方もできますよ。
――なるほど、ユーザーの年齢層も幅広く想定されているのですね。キャッシュレス決済サービスのなかには、仕組みや機能が複雑なものもありますよね。使いこなせる人には便利な機能も、そうでない人には利用の大きな壁になってしまいます。
武蔵:そうなんです。特にゆうちょ銀行は、さまざまな世代の方に使っていただいていますので、誰もが使いやすい決済サービスになるように、開発当初から心がけてきました。若い世代を中心に、今やスマホは日常生活に欠かせないアイテムですよね。キャッシュレス決済サービスも着々と浸透しています。一方で、クレジットカードをはじめとしたキャッシュレス決済を敬遠しているお客さまもまだまだ多くいらっしゃいます。そういう方を含め、より多くのお客さまにキャッシュレスサービスを使っていただきたいと思い、ゆうちょPayをリリースしたという背景があります。
――ゆうちょPayは、アプリの画面自体もとてもシンプルですね。
中村:スマホに苦手意識のあるシニアの方にも使ってもらいたいという思いから、できるだけシンプルな作りにしています。口座をすでにご利用いただいているお客さまは、最初にアプリ内でひと通りの登録手続きを終えれば、ゆうちょPayをすぐに利用していただけますよ。
武蔵:買い物の決済ができるのはもちろんですが、利用している口座の残高確認も簡単にできるんです。口座直結型なので事前のチャージも必要ありません。また、操作に困ったら、電話でのサポート窓口があるので、安心してお使いいただけます。
レジの前での操作性と安全性を兼ね備えたアプリに
――そもそも、ゆうちょPayアプリの開発は、どのように進められてきたのですか?
中村:実はゆうちょPayは、独自のシステムを一から開発したのではなく、「銀行Pay」という共通のシステムサービスを利用しています。協業をすることでコストが抑えられ、スピーディーに開発を進めることができ、他行さまと手を取り合って日本のキャッシュレス化を推進することにつながっています。一方で、取り入れられる機能にも制限があるのも事実です。
――そういった制限もあるなかで、「ここはこだわって開発した」というポイントはどこでしょうか。
中村:スマホ決済サービスで一番大事なのは、店頭での操作性だと思うんです。レジの前で手間取らず、スムーズに決済したいですよね。
そこで、ゆうちょPayでは、トップ画面をとにかくシンプルにして、すぐに支払い画面が出せるように工夫してあります。コードをかざして決済する場合、アプリを開くと緑の丸いマークが点滅して誘導し、そこをタップするとコードが表示されて決済できます。あとは、片手でスマートに操作できるように、重要なボタンは画面の下に配置しました。
中村:使いやすさを考えると、アプリを開いてすぐにコードが表示されるとスムーズですが、レジに並んでいる間にコードを第三者に撮影され、不正利用されてしまうリスクがあります。そのため決済する直前にワンタップしてからコードを表示できるようにしています。
――確かにスマホ決済アプリは使いやすいと同時に、安全性への配慮も気になります。ゆうちょPayでは、セキュリティ対策として、どのように取り組まれていますか?
中村:当初から、口座登録手続きは、シンプルでありながらも安全性に配慮したステップになっていますが、2022年1月からは、口座登録や変更時に「ゆうちょ認証アプリ」も利用いただけるようになりました。もう1つアプリが必要なので最初は少し面倒かもしれませんが、より安全に登録や変更の手続きを行っていただけるようになっています。
また、コードを表示する時も、暗証番号入力、指紋認証や顔認証の生体認証を使って、セキュリティをより強化しています。もちろん、スマホ本体にもこういった認証は付いているので、ゆうちょPayアプリでは不要という場合は、設定で変えることもできますよ。
――ゆうちょPayのアプリ開発で思い出に残っているエピソードがあれば、教えてください。
中村:ポイント機能の開発でいうと、保有ポイントの更新ボタンを追加していますが、アプリの試験中に、ユーザー担当から更新のスピードが早く、ボタンを押せたかわかりづらいという要望がありました。普段ならできるだけ早く処理結果を表示させようとするのですが、敢えて画面を一瞬暗くするアクションを追加して、アプリのUI(お客さまが操作する画面)を改善したというエピソードがありました。ユーザーの要件を聞いて、それをシステムで実現する方法を考えて提案する仕事は、大変ですが、やりがいを感じています。
キャッシュレス化を後押しする存在に
――ゆうちょPayのいちユーザーとして、お二人がとくに気に入っているのはどんなところですか?
武蔵:やはり画面がシンプルで、使いやすいところですね。あとは、アプリ画面の上部に、季節ごとに変わるイラストが入っているのですが、それがちょっとしたお気に入りポイントです。
中村:私も機能がとにかくシンプルなのがいいと思っています。開発者側としては、アプリにいろいろな機能をつけたいところですが、そこはぐっと我慢しています(笑)。
そしてやっぱり、ちょっとお得になるとうれしいので、ゆうちょPayでポイント付与ができるようになってよかったと思っています。周りにもすすめやすいですしね。
武蔵:友人から「ゆうちょPay、使っているよ」という声をもらうことが仕事の励みになっています。ポイント機能を導入して画面イメージを変更したときは、「ポイントの有効期限が確認しやすくなった!」と言ってもらえて、うれしかったです。ちょっとしたことですが、決済時の音についても「いい音色だね」なんていう声もいただきました。
――ゆうちょPayなどキャッシュレス決済サービスを取り入れることで、私たちの暮らし方や買い物の仕方がどのように変化していると感じていますか?
武蔵:これまで、買い物をする時にはATMで現金を引き出して支払いをしていたわけですが、その現金を引き出す手間が省け、レジで直接支払えるようになりました。暮らしのなかの決済行動がシームレスになったこの変化は、とても大きいですよね。
私たちゆうちょ銀行は、キャッシュレス決済可能なインフラをすでに持っています。
このインフラを活用して、便利で快適なキャッシュレス決済をわかりやすい仕組みで提供し、お客さまがより安心して生活できるサービスを提供していきたいと考えています。
――最後に、ゆうちょPayの展望を教えてください。
武蔵:ゆうちょ銀行は、お子さんが生まれた時にご両親が口座を作って、コツコツとお年玉を貯めるために使われたり、大学生がアルバイト代の振込口座に利用したり、高齢の方は年金の受け取りに使われたり、さまざまな年齢層の方にご利用いただいています。さまざまな方々のキャッシュレス化を後押しする存在でいたいと、私たちは考えています。
中村:今までキャッシュレスを利用したことがないお客さまにとっての、はじめてのキャッシュレス決済サービスとしても使ってもらいたいですね。そのためにも、シンプルで便利に使えるように、お客さまの声を大切にしながら機能の追加などをしていくつもりです。
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※撮影時のみマスクを外しています。