ぽすくまの生みの親が語る「ぽすくまと歩んだ10年間とこれから」
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切手から生まれたくまのぬいぐるみの郵便屋さん「ぽすくま」。切手から飛び出して日本郵便のオリジナルキャラクターとして活躍しています。2022年は生誕10周年の記念すべき年。そこで、生みの親であり切手デザイナーの中丸ひとみさんに、ぽすくまとの10年間とこれからについてお話を伺いました。インタビューの応援に駆け付けたぽすくまの一問一答にもご注目ください。
日本郵便株式会社 郵便・物流事業企画部 切手・葉書室 専門役
中丸 ひとみ(なかまる ひとみ)さん
福島県会津若松市生まれ。武蔵野美術大学短期大学部生活デザイン科卒。デザイン会社および株式会社サンリオを経て、2007年日本郵政公社(現:日本郵便株式会社)に切手デザイナーとして入社。代表作に「ぽすくまと仲間たち」「おもてなしの花シリーズ」など。
切手から生まれたキャラクター「ぽすくま」
※グリーティング切手とは、ごあいさつにご利用いただける切手です。ご利用いただく季節やイベント等に応じてさまざまな種類があります。(春のグリーティング~冬のグリーティング、お祝い事にご利用いただけるハッピーグリーティングなど)
――ぽすくまが誕生した経緯を教えてください。
中丸:2012年に秋のグリーティング切手を制作する際、テディベアをテーマにデザインしたのが始まりです。「せっかくだから郵便屋さんの恰好をさせてみよう」と思って、郵便マークの入った帽子をかぶせてバッグを持たせました。
――今日は、ぽすくまも来てくれていますが、とても愛らしいですね。
中丸:お子さまから年配の方まで、誰が見てもかわいいと感じるキャラクターを目指しました。当時、切手からキャラクターが生まれるのは初めてのことでした。さらに、切手と同時にストラップも発売したんですよ。
――発売当初、お客さまの反応はいかがでしたか。
中丸:発売初日にいろいろな郵便局をまわってお客さまの反応を見ました。切手を購入しようとたくさんの方が並んでくれていて、ストラップが飛ぶように売れていたことを憶えています。お客さまから好評いただけたことで、翌年には春と秋のグリーティング切手でもぽすくまの切手を販売することになりました。
――10年の間に「ぽすみるく」や「ぽすとーすと」など仲間たちもたくさん増えましたね。
中丸:そうですね。ぽすくまと同じように、「切手」という世界の物語のなかで生まれて、それぞれ個性をもったキャラクターとして、ぽすくまとともに活躍してくれています。
ぽすくまと歩んだ10年間。切手を飛び出して手紙振興にも貢献
――今年で誕生から10年が経ちますが、振り返っていかがですか。
中丸:10年あっという間だったなと感慨深いです。ゆるキャラグランプリの企業部門で優勝したり、アニメになったりと、正直に言って、ここまで続くとは思っていませんでした。新しいことに挑戦する度に、どうなるかなという思いでやってきました。大変なこともありましたが、これまで培った経験や人脈を活かしてやってこられたかなと思います。
――ぽすくまは、10年の間に切手の中にとどまらず、活躍の場を広げていますね。
中丸:2014年に私が所属する切手・葉書室内の手紙振興を担当するラインに私も携わることになりました。全国に手紙の良さを知っていただく役割を担うのですが、手紙の祭典「メッセージフェスタ」や「ふみの日イベント」などでも、ぽすくまに活躍してもらいました。
――イベントではファンの皆さまからどんな反応がありますか。
中丸:2014年にKITTE丸の内で初めてイベントを開催したときには、参加される方が少なかったのですが、その後、様々なイベントを開催したことで、何度もリピートして来ていただけるお客さまが増えていきました。
――イベントのほかには、手紙振興についてどのような活動がありますか。
中丸:全国の幼稚園にぽすくまの「郵便屋さんごっこ」のキットを無償で贈る活動があります。紙でできたポストや郵便屋さんの帽子やバッグなどをセットにしたものなんですが、とても好評です。活動から5年くらい経ったころから、幼稚園や保育園でキットに触れたお子さまがその後小学生になり、「ふみの日イベント」などのイベントに来て「この子、ぽすくまっていうんだよ」と親御さんに教えていたりするんです。こういった出来事が最近とても多くて、各地で絵本のサイン会をやると、「幼稚園のときに郵便屋さんごっこやったよ」と言われることもあります。地道な活動が実を結び始めているんだなと実感します。
――中丸さんは、ぽすくまのほかにも、花や美人画をモチーフにした切手を手がけていますが、切手をデザインするうえでのこだわりを教えてください。
中丸:切手は、手紙やはがきを出す人と受け取る人がいて、いろいろなシチュエーションが組み合わさって完成される商品だと思っています。切手は誰もが受け入れやすいように、押しつけがましいものにならないように心がけていますね。切手の絵が出しゃばることがないよう、一歩手前で止めて控えめに。紙面がぎゅうぎゅうにならないよう、余白を大切にしています。
――中丸さんの描く絵からはぬくもりが感じられます。
中丸:そう感じていただけるのは、すべて手描きだからかもしれませんね。レイアウトするのにはMacを使っていますが、絵はすべて手で描き続けています。今は、手軽に絵を描けるソフトもありますが、自分がお客さまの立場だったら、自分では描けないものを求めるのではないかなという考えもあります。これからも手で描き続けたいです。
記念切手に描いた「思い出」と「夢」。この先の10年もぽすくまとともに
――生誕10周年を記念した切手シート2種が発行されましたね。
中丸:ぽすくまと仲間たちの「思い出」と「夢」をテーマにした切手です。「ぽすくまはどうして郵便屋さんになったの?」と聞かれることが多いので、63円切手は、ぽすくまの子ども時代から郵便屋さんになるまでのエピソードやイギリスを旅した様子を描きました。84円切手は、ぽすくまが日ごろ夢見ていることを表現したものです。南極や宇宙に郵便配達へ行ったり旅先でお好み焼きを焼いたりという、やってみたいことを描いています。
――中丸さんご自身は、今後、お仕事でやってみたいことはありますか。
中丸:これまでもそうでしたが、仕事は、何でもやってみたいです(笑)。2021年には絵本『もりの ゆうびんきょくの おはなし ぽすくまです!』で、初めて"絵だけを描く"お仕事をしました。長年サラリーマン生活を送ってきてこういった絵だけの仕事は初めての経験でした。大変でしたがとても楽しかったですし、私は絵を描くのが本当に好きなんだなと再認識できた経験でした。
――10年後、ぽすくまにはどんな存在になっていてほしいですか。
中丸:お子さまが郵便局へ行くのに、「ぽすくまがいるところに会いに行こう!」と言ってもらえるような存在になっていたらうれしいですね。
――最後にぽすくまを愛している皆さまへメッセージをお願いします。
中丸:10年もの間続けてこられたのは、ファンの皆さまや社内外のスタッフに助けてもらったおかげです。皆さまから元気をもらえて、それが私の原動力になっています。ファンの方から「こういうものがほしい」と言われることもよくあり、そういった一つ一つを心と頭に留めて切手で表現したりグッズでカタチにしたりしています。ですから、皆さまもぽすくまと一緒に歩んでいこうと思ってもらえたらうれしいです。これからもぽすくまをよろしくお願いします。
\ぽすくまってどんなキャラクター?/ぽすくま一問一答
ぽすくまのハッピーバースデー・フェスティバル2022
ぽすくまをより多くの皆さまに知っていただき、親しみ、ご一緒に楽しんでいただくため、2022年9月21日(水)19:00から、ぽすくまの公式YouTubeチャンネルで、ぽすくまの誕生日をお祝いする「ぽすくまのハッピーバースデー・フェスティバル2022」を開催します! 今年もさまざまなコンテンツを用意していますので、ぜひご参加ください。
10月5日(水)~10日(月・祝)東京、11月24日(木)~27日神戸にてぽすくまの期間限定コラボカフェを開催!
2022年10月5日(水)から同年10月10日(月・祝日)まで、カフェ アクイーユ 恵比寿店(東京都渋谷区)にて、また、2022年11月24日(木)から同年11月27日(日)までグリーンハウス ヴァルト(兵庫県神戸市)にて、期間限定のぽすくまのコラボカフェをオープンします!
オリジナルグッズや特別なコラボメニューをご用意しますので、ぜひご来場ください。
※撮影時のみマスクを外しています。