たびぽすと 「丸いポストのまち こだいら」を巡る。あちこちで見かける懐かしい表情に、ちょっぴりタイムスリップ気分
あなたに伝えたい旅路がある。
そこでしか見られない景色、そこでしか感じられないものを写真に収めながら旅を進めていく。四季の移り変わりや美しい自然のなかに佇むポストを訪ねる旅へ出発です。
今回の旅先は、東京・多摩エリアにある小平市。「丸いポストのまち こだいら」として、市内には、37本もの丸型ポストが点在しています。時代とともに、だんだんと見なくなった丸型ポスト。その昔懐かしい表情に、思わずシャッターを切りたくなります。
うららかな陽の光が降り注ぐある日。のんびりとした小平のまちに、丸型ポストを探しに行ってきました。
思わず見上げたくなる小平市のシンボル。ルネこだいら前の丸型ポスト
西武新宿線小平駅から徒歩4分。小平市民文化会館「ルネこだいら」の前に、日本一大きな丸型ポストがあります。
高さ約2.8m、幅80cm! 存在感たっぷりの大きな風格は、遠くからでもすぐに見つけることができます。
実際にポストとしても使用されており、見上げた先と通常の高さにそれぞれ投函口が用意されています。訪れた記念にぐんと背伸びをして手紙を投函すれば、きっといい思い出になるはず。
大ホールやレセプションホール、展示室などを備えた「ルネこだいら」。日々、コンサートや発表会などが開催されており、市民の憩いの場となっています。
空を映す青色の外壁。晴れた日にはキラキラと輝き、そのきれいさは思わず見とれてしまうほど。
チケットカウンターには、日本一の丸ポストにちなんだオリジナルスタンプが押せるコーナーも。手紙やはがきにスタンプを押して日本一大きなポストに投函すれば、いい思い出になりそう。
小平市が「丸いポストのまち」であることを実感できる、旅のスタートにぴったりな場所でした。
「よく来たね」と迎えてくれる、ガスミュージアム前の丸型ポスト
足を伸ばして、次はガスミュージアムへ。東門の前には、レトロさを感じる丸型ポストが佇んでいます。
以前は、たかの台駅前郵便局に設置されていたというこちらのポスト。2019年、ポストの入れ替えをきっかけに、ここに引っ越してきたのだとか。受付に向かう私たちを、正面から歓迎してくれます。
「ガスミュージアム」は、ガスの歴史にまつわる展示を行っている博物館。「ガス灯館」と「くらし館」の2つの建物から構成されています。
庭に立つガス灯は、明治時代に実際に使われていたもの。ゆらゆらと揺れる灯からは、深い趣が感じられます。
「ガス灯館」では、さまざまなガス灯たちがお出迎え。明治時代に流通していたものから、海外で使われていたもの、ガス灯にまつわる文献まで、ゆっくりと見て回ることができます。
「くらし館」では、ガスが普及した明治時代まで遡り、ガスとくらしのかかわりについて知ることができます。
館内には、英国から輸入されたストーブやガス湯沸かし器など、今では見かけないガス器具がたくさん。そのクラシックなデザインからは、文明開化の片鱗が感じられます。
ガスミュージアムを楽しんだ後は、受付でポストカードを購入。浮世絵師・小林清親による作品「イルミネーション」の絵柄を選びました。
旅の記念に手紙をしたためて、私たちを出迎えてくれた丸型ポストへ投函。
郵便事業が始まったのも、ガス利用が始まったのも同じ明治時代。このポストが引っ越してきた理由も、「文明開化を象徴するものをぜひ」と、当時の館長が譲り受けたからなのだとか。
明治時代との結びつきを感じられるポストから送る、友人に宛てた一通の手紙。その絵柄から、当時の活気を感じてもらえたら...そんな期待を胸に、この場を後にしました。
今もなお、人々に手紙を送り続ける。小平ふるさと村の丸型ポスト
さらに懐かしい顔に出会うべく、やってきたのは「小平ふるさと村」。
明治から昭和にかけて営業していた旧小平小川郵便局舎の前に、目的の丸型ポストがあります。ポストの表面には、長い年月を乗り越えてきた証が。
今もポストとして現役で、取集に訪れる配達員さんの姿も見られました。
「小平ふるさと村」は、小平の歴史とくらしを伝える古民家園。園内には、江戸時代からの建物が復元されています。
「旧小平小川郵便局舎」は、現存する郵便局舎のなかでも古いものの一つ。小平市指定有形文化財として、昭和58年に指定されました。
園内を奥に進むと、江戸時代初期(小平開拓当初)の農民住居を復元したものや、畑に立つかかしの姿も。
なじみのない場所のはずなのに、どこか懐かしいーー訪れる誰もが、きっと小平の原風景を感じられることでしょう。
旅の終わりは、コーヒーでほっとひと息
丸型ポストを巡る旅。最後は休憩も兼ねて「ドリヤン洋菓子店」へ。西武国分寺線鷹の台駅前にある店舗には、家族連れや下校途中の学生など、たくさんのまちの人が訪れます。
窓の外からお店をのぞくと、ポストの置物がちらり。入ってすぐのショーケースには、色とりどりの自家製スイーツが並んでいます。
ブレンドコーヒーを注文して、奥の喫茶スペースへ。滑らかな口当たりのコーヒーが、たくさん歩いた体にじわぁっと染みていきます。今日の旅を振り返りながら、ひと口、またひと口とカップを傾ける時間は、とても心地よく感じられました。
穏やかな風景のなかに、懐かしい表情を持つまち・小平市。
歩いているだけでどこか優しい気持ちになれる、そんな雰囲気をまとった素敵な場所です。皆さんもぜひ、丸型ポストを巡る旅に出かけてみてはいかがでしょうか。