たびぽすと 絶景フォトスポットをめぐる伊勢の旅。 《天空のポスト》ツアー

A35I7176.jpg

INDEX

あなたに伝えたい旅路がある。

そこでしか見られない景色、そこでしか感じられない物をフォトグラファーの視点で、写真に収めながら旅を進めていく。四季の移り変わりや美しい自然の中に佇むポストを目指す旅へ出発です。

伊勢志摩スカイラインを、上へ上へと登っていく。
大パノラマが広がる展望台の先には、昔懐かしい真っ赤なポストがー。

山頂広場にぽつんと佇む『天空のポスト』は、今も現役ではたらくポスト。日々、訪れる人の旅の思い出を、全国へ形にして届けています。青空に映えるビビットな赤い色、レトロな雰囲気の愛らしさは、近年、フォトスポットとしても話題です。

"天空のポストへ行ってみたい!"
"せっかくなら、近くの絶景フォトスポットやグルメ情報も知りたい!"

今回は「絶景フォトスポットをめぐる伊勢の旅!天空のポストツアー」と題して、伊勢の魅力をたっぷりご紹介します。

旅のはじまりは、「奥伊勢」から。神社とあんこでパワーチャージを

三重県といえば「伊勢神宮」。

一生に一度は訪れたい神社として有名ですが、昔から伊勢神宮へ参拝するときの窓口として使われてきたのが近鉄の『宇治山田駅』です。

JP_tabipost_iseshima_photo_0002.jpg

宇治山田駅は、国の登録有形文化財に登録され、天皇陛下が伊勢神宮に参拝するときに利用する乗降駅。テラコッタで飾られた外壁、吹き抜けのコンコース、壁面の装飾と、歴史感じるモダンな建築を満喫できる駅舎なのです。

そんな宇治山田駅から今回の伊勢の旅スタートです!

三重県に着いたらまずは「伊勢神宮へ参拝!」という方が多いと思いますが、外宮から車で40分ほど離れた「奥伊勢」というエリアに、「別宮」があるのはご存知でしょうか?

それが、『瀧原宮(たきはらのみや)』です。

瀧原宮は今から約2,000年前、倭姫命(やまとひめのみこと)が天照大神を祀るのにふさわしい土地を探していたときに瀧原の美しさに魅了され、建てたのが始まりと言われています。

JP_tabipost_iseshima_photo_0003.jpg

近づくと、神社特有のピリッとした空気と、静寂が、身体を包み込みます。

樹齢数百年を越える杉に囲まれた参道や、身を清める御手洗場。 この場所にいるだけで、心が浄化されていくようです。

JP_tabipost_iseshima_photo_0004.jpg

瀧原宮は、伊勢神宮の内宮のつくりにそっくりなことから、内宮の別宮、「元伊勢」「遙宮(とおのみや)」とも伝えられています。

JP_tabipost_iseshima_photo_0005.jpg

「瀧原」という名は、かつてこの場所にたくさんの滝があったからつけられたのだそう。時間を超えて、滝の音がすぐそこに聴こえてくるような、記憶に残る神社でした。

さて、瀧原宮でパワーチャージしたあとは、お隣にある『道の駅 木つつ木館』でおみやげを物色しましょう。

JP_tabipost_iseshima_photo_0006.jpg

『道の駅 木つつ木館』は、自然の木工師である「きつつき」から付けられた、手作り品がずらりと並ぶ県内でも最大級の道の駅です。

なかでも一番の特徴は、木工作品。
カトラリーやまな板などの小物から、一枚板の家具など大物まで、品揃えが大・大・大充実! 机はオーダーメイドができるので、県外からこだわりの家具を求めてわざわざ買いにくるお客さんも多いのだそう。

JP_tabipost_iseshima_photo_0007.jpg

館長の西さんはこう言います。

「もしも自分が知らない所へ行ったとき、こういう空間があったら楽しい!と思えるような店作りをしたい」

入った瞬間に感じる、木のぬくもりと人のあたたかさ。また訪れたくなるような道の駅でした。

さて、いろいろ見てまわって、小腹が空いたのでちょっとひと休み。 隣のヤマザキショップに寄ってみましょう。このお店の看板商品は、なんと、『豆大福』。

JP_tabipost_iseshima_photo_0008.jpg

ビジュアルからもお分かりの通り、「これでもかっ!」というくらいに豆がひしめきあっています。気になる断面も見てみましょう。

JP_tabipost_iseshima_photo_0009.jpg

餅ゾーンのギリギリラインまで、あんこがぎっちり詰まっています。

正式な商品名は、「豆いっぱい大福」といって、見た目もお味も、名前の通りでした。
豆を主役に立てる控えめなつぶあんと、薄めで柔らかなお餅がグッドバランス。噛めば噛むほど、豆の風味が口の中いっぱいに広がって、大きな福が舞い込んできそうな気分になります。あんこ好き、豆大福好きの方にはたまらないおやつです。
テラス席もあるので、天気のいい日は自然を眺めながら味わってみるのもおすすめです。

さて、お腹も心も満たされたところで、スタート地点の伊勢市内方面へ戻ります。

見どころたっぷりの伊勢市内。グルメと伊勢神宮で大満喫!

せっかく三重県に来たのなら、やっぱり「お伊勢さん」への参拝は欠かせません。
さぁ目的地は、伊勢神宮!

と、その前に、もう少しだけ、腹ごしらえをしましょうか。

伊勢神宮の近くにある『伊勢うどん つたや』へ立ち寄ってみましょう。

JP_tabipost_iseshima_photo_0010.jpg

まず店に入って驚いたのは、メニュー数が豊富なこと!
伊勢うどんのほかにも、中華そばにチャーハン、カツ丼などなど馴染みあるメニューの数々に、心踊ります。

この日注文したのは、伊勢うどん、カレー、オムライス。

JP_tabipost_iseshima_photo_0011.jpg

うどんは、ほどよいコシの麺に濃いめのお出汁がしっかり絡んで、口の中でやさしい無垢な味わいが広がります。さらに、たっぷり野菜が溶け込んだカレーも、しっかりめの卵で包み込んだオムライスも、ホッとするお味。他のお客さんが食べていた別のメニューにもついつい目移りしちゃいながら、夢中で食べました。

ちなみに、この店のお出汁は、3種類の煮干と2種類の鰹節、昆布などの材料をふんだんに使い、毎日5時間かけて薪のカマドで炊いているのだそう。

JP_tabipost_iseshima_photo_0012.jpg
JP_tabipost_iseshima_photo_0013.jpg

創業約70年。手間暇かけてつくられ守られてきた味や、暖簾をくぐる人々の表情や会話から、長く愛されてきた歴史を感じる心あたたまるお店でした。

さぁ、お腹がいっぱいになった後は、いよいよ『伊勢神宮』の参拝へ。

JP_tabipost_iseshima_photo_0014.jpg

伊勢神宮は、全国約8万社のなかで最大の聖域で、125社からなるお社の総称です。
正式名称は『神宮』と言い、外宮には豊受大御神が、内宮には天皇のご先祖である天照大御神が祀られています。

参拝は、下宮から内宮の順番にお参りするのが正しいとされていますが、境内には見どころが本当にたくさんあります。総氏神を祀る「皇大神宮」をはじめとして、手水舎、五十鈴川、宇治橋、神苑など、どこへ行っても、神さまの気配を感じるような凛とした空気が漂っていて、全国から参拝者が絶えない理由が分かるような気がします。

JP_tabipost_iseshima_photo_0015.jpg

日本人の「心のふるさと」とも呼ばれる、伊勢神宮。
お時間がある方は、ぜひ別宮までじっくりまわってみることをおすすめします。

さて、内宮を参拝したあとは、門前町にある「おかげ横丁」でひと休み。

JP_tabipost_iseshima_photo_0016.jpg

ここは、伊勢で唯一の酒蔵である『伊勢萬』内宮前酒造所。

JP_tabipost_iseshima_photo_0017.jpg

『伊勢萬』のお酒は、五十鈴川の伏流水と、時間をかけてみがきあげたお米を使って、お酒がつくられています。なかでも、店頭販売で賑わっていたのは、「甘酒」。カップ片手に、お客さんが続々とお店から出てきました。流れに身を任せて、私たちもここで一服することに。

JP_tabipost_iseshima_photo_0018.jpg

カップに書かれている「おかげさま」の意味は、神々と自然の恵みに感謝する「おかげ」の気持ちにちなんで付けられたお酒の名前なのだそう。その酒粕でつくられたのがこの甘酒で、お米の旨みが溶け込んだクリーミーな味わいと、さっぱりした後味はやみつきに。ごくごくと飲んでしまいます。お好みで生姜を入れることもできますよ。

甘酒のおかげか、参拝で冷えきった身体がポカポカに!

このあとは、いよいよ伊勢志摩スカイラインの頂上に立つ『天空のポスト』へ向かいます。

絶景ドライブを楽しみながら、頂へ。大切な誰かに想いを届ける、『天空のポスト』

JP_tabipost_iseshima_photo_0019.jpg

伊勢志摩スカイラインは、伊勢と鳥羽を結ぶ、全長16.3kmのドライブコース。「天空のドライブウェイ」とも呼ばれていて、雄大なパノラマが広がる絶景コースです。

JP_tabipost_iseshima_photo_0020.jpg
JP_tabipost_iseshima_photo_0021.jpg

濃いブルーの伊勢湾に浮かぶ島々、緑豊かな伊勢平野、賑わい感じる伊勢市の街並み。

目の前に広がる壮大な景色にうっとりしながら、時折車を止めて、「わぁ」「きれい」「すごい」と感動しているうちに、あっという間に頂上へ到着。

JP_tabipost_iseshima_photo_0022.jpg

車から降りると、まず「空」が目の前に広がります。
さえぎるものが何もないので、とにかく空が広くて近い。スケールの大きさに心をザワつかせながら、急ぎ足で「朝熊山展望台」へと向かいます。

JP_tabipost_iseshima_photo_0023.jpg

階段を登りきった先に広がるのは、伊勢志摩や伊勢湾を一望できる大パノラマ。さらに、天気がいい日は富士山まで見えるのだそう。

「さっきまであそこにいたよね」なんて笑い合いながら、今この場所にいる不思議さを実感します。

JP_tabipost_iseshima_photo_0024.jpg

さらに、展望足湯、茶屋、遊歩道、芝生広場などを横目に、奥へ奥へと進んでいくと。

青空のなかに浮かぶ、真っ赤なポストを発見!

JP_tabipost_iseshima_photo_0025.jpg

レトロな雰囲気でぽつんと佇む、『天空のポスト』。

一見オブジェのように見えますが、実際に手紙を投函することができる、現役のポストなのです。投函した手紙は配達員が日々回収し、届けてくれます。さらにうれしいのは、「伊勢」の消印を押してもらえること。近くの売店ではがきや切手も買えるので、旅の思い出を形にして残すのにぴったりです。

また、天空のポストは、大切な人へ手紙を投函する人が多いことから、三重県で三番目の「恋人の聖地」にも認定されました。さらに天空のポストがある朝熊山は、昔から山岳信仰で訪れる人が多い場所でもあります。

JP_tabipost_iseshima_photo_0026.jpg

今はデジタルで手軽にメッセージを送信できる時代だけれど、はがきや切手を選んで、文章を考えて綴って、投函するというほんの「ひと手間」が、お互いにとって、特別な思い出になるかもしれない。土地の空気がふわりと手紙にのって、気持ちと一緒に、誰かの元へ届くかもしれない。

JP_tabipost_iseshima_photo_0027.jpg

大切な誰かのことを思ったり、自分と向き合う時間を持ってみたり。
旅の楽しみが、この小さな天空のポストには詰まっているような気がします。

JP_tabipost_iseshima_photo_0028.jpg

開放的な空間にどっぷり浸かっていたら、あっという間に陽が落ちてきました。

この日は天気がよかったので、「夕陽が見れるかもしれない!」と、ワクワクしながら天空のポストをあとにして、海へ車を走らせました。目指すは、「日本の夕陽百選」にも選ばれている『賢島大橋』へ。

ちょうど雲の切れ間からオレンジ色の夕陽が、静かに沈んでいきました。

JP_tabipost_iseshima_photo_0029.jpg

賢島は、英虞湾に浮かぶ最も大きな島で、英虞湾では真珠の養殖が盛んに行われています。
波はおだやかで、水面は鏡のように夕陽を映し出し、異世界にいるような空間でした。それは、まるで、真珠の輝きのよう。

JP_tabipost_iseshima_photo_0030.jpg

陽が沈んだあとの余韻も、特別な時間でした。

JP_tabipost_iseshima_photo_0031.jpg

一日の終わりに感謝しながら夕陽を見届けて、今回の天空のポストツアーはこれにて完結です。

ここでは紹介しきれないくらい、まだまだ見どころがたくさんありそうな伊勢の旅。
ぜひ皆さんも、まわってみてくださいね。

※今回は早朝から1日弾丸ツアーでまわりましたが、ゆっくり楽しみたい方は、1泊2日か2泊3日でまわることをおすすめします。

フォトグラファー:内村 円
ライター:松下 恭子
企画・制作:CURBON

たびぽすと 写真家・岩倉 しおり さんと歩く小豆島。2つのポストを写真で紡いだ旅。
たびぽすと 銚子電鉄で行く、よりみち写真旅。 犬吠埼の灯台横にそびえる《白いポスト》

津々浦々からのフォト便り 連載記事一覧はこちら

            

#HOT TAG

カテゴリ

おすすめ記事